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パンドラは中身を知らなかったから箱を開けた。

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間もなく日本でも公開されるシェイクスピア作「ハムレット」をベースに、五代十国時代の宮廷を描いた「女帝 エンペラー」。

日本でもヒットした「SAYURI」「HERO」などで有名なアジアNo1女優チャン・ツィーが主演することでご存知の方も多いことだろう。


このチャン・ツィー、日本では好感度が高いが、
ここ北京ではかなりイメージは悪く思われている。

何故かというと彼女は青春時代を北京で過ごしていて、
このころからかなりの男好き。

無名時代のみならず、有名な今でも男性との密会写真や、
デートの盗撮映像が世間に流れまくっている。


ボクは彼女が男好きの淫乱女であろうが、
映画さながらの純情娘であろうが彼女を愛してやまない。

あの色気のある怒った表情はたまらないし、
彼女の演技に対する姿勢はやはり素晴らしい。


『中国で好きな女優は?』と聞かれたら、
コンマ2秒で『チャン・ツィーです。』と答えることが定番となっている。
チャン・ツィー以外の女優はあんま知らんし。


彼女の「和服遠心力帯クルクル脱がされ」を見た時は失神した。(マジで)


そんな彼女の出身校である北京の「中国中央演劇学院」は、
実はボクの今住んでいるマンションの近く。


ボクはその学院に勤める李さんという教員と親しく付き合いがあるのだが、ある日ひょんなことからその方とチャン・ツィーに関する興味深い噂を耳にした。


李さんはチャン・ツィーと付き合ったことがある。



なんですと?
あの冴えない眼鏡の七三分けで、いかにも「教師やってます!」というようなあの李さん・・・
いやあのヤローとボクのチャン・ツィーが付き合った事があるという。

演劇学院なのに絵画を教えているあの嫁に頭の上がらないボケナスがボクのチャン・ツィーと付き合っているという。
(学院の演劇科は少数精鋭で30人程度。)



近くに飲み屋街的なところがあるので、
たまに学院を散歩した後に飲みに行くのだが、
そこの李さんとも顔なじみのマスターと話している時にそんな話を聞いた。



ボクは無意識に、
口も付けていないビールをおいてあのヤローの元へ向かった。(無銭飲食)。

あのヤローに電話しながらチャリンコで向かった。(マスターのを拝借)



少し影のあるミステリアスな人だが、この噂は本当なのか?
そんな強いカードを持っていながら半年間の出し惜しみ。

それも作戦かもしれない。
あのヤローの戦略かもしれない。


だとしたら彼が国家主席だったら日本は今よりも苦しい外交を強いられていたかもしれない。


しかしあのヤローはしがない美術の教員。
退屈になりがちな授業でそのカードを使うべき。
『先生と一緒に写っているのは誰かな?』とか言って
生徒に若き頃のチャン・ツィーを描写させれば良い。



チャリンコでギネス記録のスピードを出し、
息を切らせている敗北感の塊に彼はこう言った。

李『急にどうした?』


フンっ、こっちが何も知らないただのバカだと思っていやがる。

止まらない息切れと敗北感によりボクは少しエクスタシーに達したが、
力を振り絞って事の詳細を話した。


敗『本当なのか?』

李『・・・あぁ。』


バーボンの似合いそうな哀愁漂う返事に虚をつかれて、
ボクは言葉を失ってしまった。


場所はまだ蒸暑さの残る夏の終わりの木陰。
時々差し込む木漏れ日に辟易したような表情で元彼は語り始めた。



彼女を始めて見たときは、
これほどの女優になるとは想像できなかったらしい。


しかし倍率400倍とも500倍ともいわれる演劇科に入学してきた
立派な優等生。

その上当時から自分の見せ方を研究していて、
演技に関してはエリートの演劇科でもひときわ偉才を放っていてた彼女は
学院でも有名だったらしい。

有名だった理由はその当時からかなり派手に遊んでいたからということも関係していたと元彼は言った。


そんな派手好きな演劇のエリートと
眼鏡がチャームポイントのさえない七三。



付き合うまでの過程を早く聞きたかった。
しかしその場の空気は、今をときめくアジアのスーパースターと交際経験のある男が、自慢げに栄光を語るのとはあまりにもかけ離れていた。


気候とリンクするようなジメジメした空気。

その空気はボクに彼とスーパースターとの想い出が決して良いものではなかったと気付かせるのに十分だった。



彼は彼女の昔の印象を語ったらうつむいて黙り込んでしまった。



彼は真面目だ。
彼は相手のリクエストを感じ取り、
嘘で興味を刺激できるような柔軟な人間ではない。




息苦しい。
とてもこちらから話し掛けられる雰囲気ではない。
ボクは彼の言葉を待った。


時間が遅い。
蒸暑かった気候がヒンヤリしてきた。

それでも待った。
待たなければならないと第六感が言った。


チャン・ツィーの話は正直どうでも良かった。
この長い沈黙の結末を知りたかった。



どれくらい経っただろう。
元彼はずっと考え込んだようにうつむいていたが、
スッと顔を上げるとボクにこう切り出した。


李『相談があるんだが・・・』


唐突な言葉に不意をつかれて返事が出来なかったボクを尻目に、
彼はまた語り始めた。


李『ボクは彼女を今でも殺したいほど憎んでいる。
  彼女の事で当時は自殺まで考えた。
  頼むから理由は聞かないでくれ。
  彼女との想い出は全て消した。
  時間のおかげで今は彼女への憎しみも薄れつつある。』


ボクは言葉を忘れていた。
それよりも、どう返して良いのか分からなかった。

彼は続けた。

李『もう関わりのない彼女に関する物で、
  今でも処分出来ない物が一つだけある。』


ボクは彼の不透明な重い過去を想い、
ぶっちゃけチャン・ツィーの事はもうどうでも良かったが、
その想い出の削除の中で残ったその特別な物が何なのか
非常に気になった。

『それはどんな物?』すら出てこないボクに彼は告げた。



李『写真なんだが・・・』



なーんだ、写真かぁ。
日本ならそれなりに価値がある。売り方も色々ある。

しかしここは中国。
合成の写真なんかは腐るほどある。彼女と知り合いで本当に一緒に撮った写真もニセモノと思われたり、物質的な価値は薄い。



李『その写真、彼女のヌードなんだ。
  そこで頼みがあるんだが、それ処分してくれないか?』



チャン・ツィーのヌード写真。



低俗だが、ボクの頭に真っ先に浮かんだのは「欲しい!」だった。

その時は彼が出まかせを言っている可能性は考えもしなかった。
どうでもよくなっていたチャン・ツィーにまた炎が灯った。


動揺を隠しながら冷静に返した。


ボ『どうして自分で処分しない?』

李『・・・・・。』



ボクは半分は彼が処分できない理由が分かっていた。

売らない理由は、売る過程において彼が関わったと知られれば、
彼は間違いなく職を追われるだろうし、
もし裁判沙汰にでもなれば彼は一生臭い飯を食う可能性だってある。

うまく売れたとしても、
情報を得た中国人が金の為に公安に情報を売るかもしれない。
公安はこのような事件に喰い付きが良い。
公安関係者からゆすられる可能性もある。



ボクは暫し考えたあと彼に告げた。


ボ『引き受けてもいいが、処分はしないかもしれない。』

李『あぁ、構わない。』



短い会話の後、二人で李さんの学院内の教員寮に無言で向かった。


普段より長い道のり。
李さんには悪いが、気持ちは嬉しさが半分、怖さが半分。


李さんは任務を遂行するかのように
並木の間をすり抜ける近道を通って行く。

早く終わらせたいという気持ちの表れだろうか?
彼の息遣いが10メートル離れたボクにも聞こえる。

後ろを一度も振り向ず。

すれ違う学生の挨拶も聞き流しながら。



部屋に着くと李さんは冷蔵庫から冷やしておいた500mlのミネラルウォーターを取り出し、一気に飲み干した。

いつもなら必ず聞く『何か飲むか?』という気遣いも無い。



李さんは机に向かうと、
一冊の漢英辞書を手に取り小さな封筒を取り出した。

無言でボクに手渡し、彼はその場から窓の外を眺めていた。


ボクは無言で受け取った。
折り目が一つも無いキレイな茶封筒。

封筒の中を見てみると、彼の憎しみとは裏腹に更に薄い紙で包まれキレイに保存されている、一目でそれと分かる物が入っていた。


ボクはその薄い紙から透けてみえる肌色に、
鼓動が大きくなるのを感じた。


無言で薄い紙をそっと解く・・・



一人の上目遣いの少女が写っていた。
風呂上りに一人、遊びで撮ったというところか。
濡れた髪をアップにし、右手がカメラのレンズの横まで伸びている。

ノーメイクでお世辞にも可愛いとは言えないが、幼少の頃から変わらぬその力強い眼光に、一目でチャン・ツィーと分かった。

僅かに端に写ったベッドに洋服が山積みされている様子に、
当時の派手な学院での姿を連想させる。


人目に触れるはずの無かったこの一枚の写真には、
少女の小振りの乳房までもしっかりと写っている。



タバコを燻らせずっとカーテンの隙間から窓の外を見ていた彼に、ボクは肩越しに『彼女の家か?』と聞いた。
他にも聞くことはたくさんあるだろ、と自分でも思った。

思ったが聞けなかった。


背中で『そうらしい。』と答えた彼は、
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しボクに渡した。



それを半分飲んだあと、ボクは彼に

『少ないが、とりあえず・・・』

と手持ちの1200元を渡そうとした。


ここでこの行動は間違いという事は分かっていた。
ちっぽけな金の為では無い事も分かっていた。

ただ、彼の想い出に真っ先に私欲がよぎった申し訳なさと、
ボクを信じて、この「パンドラの箱」の処理を託してくれた彼への、精一杯のお返しで無意識の行動だった。


彼はフフッとはにかみ、

『それを受け取れるなら、自分でとっくに処分してるよ。』

と付け足した。
彼は写真を仕舞うようにボクに言うと

『飲みに行こう。』

と言った。



家を出てからずっと無言の二人。



バーまではタクシーで5分程度。
終始無言の二人に運転手は訝しげな表情を見せた。

彼はずっと景色を眺めていた。
彼が何を思っているのかは知る由も無い。



タクシーを降りるとき、
いつも『俺が出すから。』と強引な彼が今日はさっさと降り、
一人で行き付けのバーに歩いていった。

お返しの出来ないボクへの彼なりの心遣いだと思う。



バーについた彼は無言でオープンテラスに座り、
マスターに『ビール2本。』と言った。

そしてビールを一口飲んだ後、『オレなぁ、』と急に喋り始めた。


15の時当時好意を寄せていた女性に男のシンボルを蹴られた話や、
大学時代の絵画の先生が巨乳で、家に帰ってはその先生の胸を想像しては絵を描いていた話など、彼はくだらない話を延々続けた。


別人と喋っているようだった。
いつも彼とは真面目な話が多い。
日本の政治や中国の問題点など、ボクが聞きかじった言葉で相槌を打つという感じが多かっただけに驚いた。


酒の勢いか、ボクも痴女に遭遇した話や、
彼女とセックスしていたらギックリ腰になった話など、
くだらない話で彼に歩調を合わせた。



ボクが話をしている時、彼は子供のように笑っていた。
これも酒の勢いか、以前の様な影のある感じは全く無い。



バーではチャン・ツィーの話は当然無く、政治や経済の話とも程遠い、中学生の様なくだらない事を二人で延々と喋った。



スーパスターと交際した彼が過去に何を経験して、
「パンドラの箱」に何の意味があるかは今でもあやふやだし、
聞いても意味が無い。


しかし、その呪縛から解き放たれた彼は、
以前の影から脱皮し、人間として一歩成長した事は間違いない。


彼の子供の様な笑顔に心地よいヒンヤリとした風。



幸福感に包まれながらボク達は一晩中語り続けた。



                   (完)





ボクは迷ったが、
この「パンドラの箱」をこのブログで公開しようと思う。



興味のある方は下のリンクをクリックして見て良いし、
彼への冒涜だ!という方は見なくても良い。



受け取り方は人それぞれだと思う。

しかし確実に言えるのは、
写真をよーく見たら彼の思いが少しは分かるはず。



ボクも中国での生活があるので3日のみの期間限定とさせて頂く。

中国のネットに詳しい知人からの提言で、
安全が確実に確保できる最長の期間だそうだ。



彼の思いが皆さんに届く事を祈って。



「パンドラの箱を開ける。」



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この記事へのコメント
すごくドキドキ☆してパンドラの箱を開けました。やっぱり、開けてはならないものなのですね。勉強になりました。
2007/06/01(金) 08:30 | URL | chinafuha #-[ 編集]
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